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プレック自主研究

産業連関分析

地域産業連関分析

(輸出入の導入)

「産業連関分析とは」では,財の輸入や輸出を考えていませんでした.つまり,各産業の生産構造が一国経済で完結している場合を考えていたことになります.このような経済を「閉鎖経済」と呼びます.つまり閉鎖経済とは鎖国をしているような経済であり,実際の経済を考えると非現実的です.しかし,産業連関分析の基礎的な事柄を学ぶためには,構造が単純な閉鎖経済を考えることが適しているため,そのような説明を行ないました.ここでは,経済モデルを現実の経済に近づけるために,他国との貿易を考えることにします.他国との貿易を考え,輸入や輸出を導入した経済を「開放経済」と呼びます.一国のある地域を考えると,同じ国の他の地域との財の取引も存在します.このような他の地域との財の取引は,移入や移出として捉えることができます.ここでは,地域の産業連関分析を念頭に置いて,輸入と移入,輸出と移出をそれぞれ合わせて,移輸入と移輸出を考えることにします.

表2−1:移輸出と移輸入を導入した産業連関表

  産業 産業 2 中間投入計 最終消費 移輸出 移輸入 生産額
産業 10 20 30 20 20 10 60
産業 2 30 50 80 20 20 20 100
付加価値 20 30
生産額 60 100

表2−1は,移輸出と移輸入を導入した産業連関表です.各行を横に見ていくと,その産業が生産した財・サービスの需要構造が分かると言うことは,既に述べました.表2−1で,例えば,産業1の行を横に見ると,生産された60の財・サービスの内,10は同じ産業1に属する他の企業の中間投入として需要され,20は産業2に属する企業の中間投入として需要され,20は直接消費者に需要されたことが分かります.また,第1産業で生産された財の内20が国内の他の地域へ移出,または外国へ輸出され,第1産業で生産される財と同じ財が10だけ,国内の他の地域から移入,または外国から輸入されたことが分かります.つまり,各行を横に見ると

中間投入額+最終消費+移輸出ー移輸入=生産額 --- (2-1)

と言う式が成立することが分かります.

この式で移輸出された財・サービスは他の地域または外国で,最終消費または中間投入に使用されるものですが,分析のためにその割合を知る必要はありません.しかし,移輸入された財・サービスは,当該地域において最終需要または中間投入に使用されるもので,分析を進めるためにその割合を知る必要があります.表2−2は表2−1の産業連関表の移輸入の部分を細かく分解した表です.各産業が中間投入として使用した財および最終需要を,地域内で生産された財と地域外で生産され移輸入された財に分けて表示してあります.地域内で生産される部分だけが地域内の新たな需要を創出しますので,地域の産業連関分析を行なう場合には,表2−2のように地域内生産と移輸出を分けた表を使用する必要があります.表2−2を見ると,例えば産業1が中間投入した産業1の財10の内,7は地域内で生産され,3は移輸入されたことが分かります.また,中間投入した産業2の財20の内,15は地域内で生産され,5は移輸入されたことが分かります.最終需要については,産業1の財20が消費されたが,その内18は地域内で生産され,2は地域外で生産され移輸入されたことが分かります.しかし,実際に産業連関表を作成する際には,各事業所にアンケート調査を行なって,その結果を集計するのですが,その際に各事業所が使用している中間財の内訳まで分からないことが多いのです.従って,表2−2のような詳細な産業連関表は作成できません.

表2−2:移輸出と移輸入を導入した産業連関表

  産業 1 産業 2 中間投入計 最終 消費 移入出 移輸入 生産額
産業 1 地域内 生産 7 15 22 18 20 --- 60
移輸入 3 5 8 2 --- 10  
産業 2 地域内 生産 25 45 70 10 20 --- 100
移輸入 5 5 10 10 --- 20  
付加価値 20 30
生産額 60 100

そこで以下のように考えて,表2−2のような移輸入について詳細を記載した産業連関表の作成を行なわなくても良いような工夫を行ないます.

産業1の移輸入率 = 産業1の移輸入額 ÷ (産業1の中間投入額+産業1の最終需要)

で,産業1の国内需要の内の移輸入の割合である「移輸入率」を計算します.同様にして,

産業2の移輸入率 = 産業2の移輸入額 ÷ (産業2の中間投入額+産業2の最終需要)

で,産業2移輸入率を計算します.表2−1を用いて各産業の移輸入率を計算してみると,

産業1の移輸入率 = 10÷(30+20) = 0.2

産業2の移輸入率 = 20÷(80+20) = 0.2

となります.移輸入率を1から引いた値は「自給率」と呼びます.表2−2を作成する際には,これらの移輸入率が一定であると想定して計算します.具体的には,

表2−3:移輸入率を用いた産業連関表(計算法)

  産業 1 産業 2 中間投入計 最終 消費 移入出 移輸入 生産額
産業 1 地域内 生産 10×0.8=8 20×0.8=16 24 20×0.8=16 20 --- 60
移輸入 10×0.2=2 20×0.2=4 6 20×0.2=4 --- 10  
産業 2 地域内 生産 30×0.8=24 50×0.8=40 64 20×0.8=16 20 --- 100
移輸入 30×0.2=6 50×0.2=10 16 20×0.2=4 --- 20  
付加価値 20 30
生産額 60 100

と計算します.この表を整理すると,

表2−4:移輸入率を用いた産業連関表

  産業 1 産業 2 中間投入計 最終 消費 移入出 移輸入 生産額
産業 1 地域内 生産 8 16 24 16 20 --- 60
移輸入 2 4 6 4 --- 10  
産業 2 地域内 生産 24 40 64 16 20 --- 100
移輸入 6 10 16 4 --- 20  
付加価値 20 30
生産額 60 100

となります.

(行列式による表示)

以上のことを行列式を用いて表示することにします.まず,(2-1)式を再掲すると,

中間投入額+最終消費+移輸出ー移輸入=生産額 --- (2-1)

となっています.この式は表2−1に対応しています.この表から投入係数を求め,行列の形で表すと,

表2−5:投入係数行列表

産業1 産業2
産業1 0.17 0.2
産業2 0.5 0.5

となります.この行列をAと置きます.つまり,

となります.生産額ベクトルは,

となりますので,

と中間投入計について検算できます.最終消費ベクトルをF,移輸入ベクトルをIm,移輸出ベクトルをExと置くと,

となり,

(2-1)式が検算できます.この式を,

--- (2-2)

と整理しておきます.ここで,各産業の移輸入率を対角要素に持つ「移輸入対角行列」をMで定義します.各産業の移輸入率は0.2ですので,移輸入対角行列は,

となります.移輸入率の定義から

が成立することが分かります.この式も,

---(2-3)

と整理しておきます.

(2-3)式を(2-2)式に代入すると,

となりますが.この式を計算していくと,

となり,ここから,

が導出できます.この式から

---(2-4)

を得ることができます.この式は,閉鎖経済モデルの(1-3)式に対応するもので,開放経済モデルになり,移輸入と移輸出が導入されたことにより,式が複雑になっていますが,産業連関分析の基本的な考え方は変わりません.

(第一次波及効果)

ここで(2-4)式を用いて第一次波及効果を計算してみることにします.まず,開放経済におけるレオンティエフ逆行列を計算します.今まで見てきた例で,レオンティエフ逆行列を計算してみると,

となります.また,

となりますので,これらの値を代入すると,

となり,(2-4)式が成立していることが確認できます.

第一次波及効果は,ある特定の産業に需要が起きたときの効果ですので,ここで,例えば第1産業に1単位の需要が発生したとします.この場合には,

を(2-4)式に代入します.


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