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産業連関分析

産業連関分析とは

(産業連関表とは)

一国の経済においては,様々な産業が様々な財・サービスを生産しています.これらの様々な財・サービスの生産過程において,ある財を生産するために別の財を投入するなど,原材料の取引を通じて多くの産業が相互に密接に関わっています.ある産業において財・サービスを生産する場合には,その原材料となる財・サービスに需要が生じます.これらの需要を満たすために他の産業に生産が波及していきますが,そのような経済波及効果を「産業連関表」と呼ばれる統計表によって分析する手法が「産業連関分析」です.

産業連関表の構造について簡単に説明しておきます.産業連関表とは一国において一定期間に行われた財 ・サービスの産業間取引を一つの行列の形に示した統計表のことです.縦方向には各部門ごとに財 ・サービスの国内生産額とその投入費用構成,つまり生産を行うために投入した費用に関する情報が記述されています.また,横方向には,部門ごとの財 ・サービスの国内生産額及び輸入額がどの部門でどれだけ需要されたか,つまり各産業の販路に関する情報が記述されています.このように産業連関表自体から各産業の生産額や一国経済の産業構造を読み取ることができます.

少し具体例を挙げて説明してみます.商店街にあるパン屋さんを思い起して下さい.パン屋さんではパンを焼いて販売していますが,材料となる小麦などは他から購入しています.この他から購入する小麦などの原材料を「中間投入」と呼びます.販売されたパンの売上げは「生産額」と呼びます.パンの売上げが100万円として,購入した原材料などの費用が50万円であるとすると,このパン屋さんが新たに作り出した価値は

100万円−50万円=50万円

と計算できます.この新たに作り出した価値を「付加価値」と呼びます.この式は,

生産額−中間投入額=付加価値額

と表記できます.この式を変形すると

中間生産額+付加価値額=生産額

となります.ちなみに,一国に存在しているすべての企業の付加価値を総計したものを「国内総生産(GDP)」と呼びます.

上で説明したパン屋さんの生産額は100万円でした.この100万円は会計の用語で言うと売上げにあたりますが,この売上げに関して,パン屋さんに来て直接町の人(消費者)が買っていく分と,近くにあるレストラン(生産者)に卸している分があるとします.町の人が直接買っていく分を,「最終消費」と呼びます.レストランに卸している部分はレストランから見ると中間投入にあたります.町の人が直接買っていく分が60万円,近くにあるレストランに卸している分が40万円であるとすると,

40万円+60万円=100万円

となることが分かります.このことは,

中間投入+最終消費=生産額

と書くことができます.

下の表は一国に産業1と産業2が存在している場合の仮想的な産業連関表です.産業連関表の各列を縦に見ると,その産業の生産に関する構造が分かります.例えば,産業1の列を縦に見ると,産業1に10,産業2に30の値が入っています.付加価値は10,生産額は50です.このことから産業1では50の生産が行われ,その生産のために投入された中間投入として産業1から10,産業2から30が計上されています.この中間投入の合計は40ですので,産業1が創出した付加価値は10であることが分かります.

表1−1:産業連関表

産業1 産業2 中間投入計 最終消費 生産額
産業1 10 20 30 20 50
産業2 30 50 80 20 100
付加価値 10 30
生産額 50 100

また,産業連関表の各行を横に見ると,その産業が生産した財・サービスの需要構造が分かります.例えば,産業1の行を横に見ると,生産された50の財・サービスの内,10は同じ産業1に属する他の企業の中間投入として需要され,20は産業2に属する企業の中間投入として需要され,20は直接消費者に需要されたことが分かります.

(投入係数表とは)

上の産業連関表の中間投入の部分は一国の産業の生産構造を表しています.産業1においては,50の生産のために産業1から10の中間投入が必要で,産業2から30の中間投入が必要なことが示されています.また,産業2においては,100の生産のために産業1から20,産業2から50の中間投入が必要なことが分かります.産業連関分析では,この生産額に対する中間投入額の比率は一定であることが想定されています.中間投入額を生産額で割った値を「投入係数」と呼びます.この投入係数を行列の形で表した表を「投入係数行列」と呼びます.

産業1においては,50の生産のために産業1から10の中間投入が,産業2から30の中間投入が必要ですので,生産1単位当たりに直すと,産業1から10/50=0.2の中間投入が,産業2から30/50=0.6の中間投入が必要になります.また,同じく産業2においては,産業1から20/100=0.2,産業2から50/100=0.5の中間投入が必要なことが分かります.

このことから投入係数行列表を作成すると以下のようになります.

表1−2:投入係数行列表

産業1 産業2
産業1 0.2 0.2
産業2 0.6 0.5

投入係数行列を行列の形で書き,Aと置くと,

となります.このAは「投入係数行列」と呼ばれます.生産額の列ベクトル(「生産額ベクトル」)をXと置くと,このXは,

となり,

と計算できます.つまり投入係数行列に生産額ベクトルを後ろから掛けると,「中間投入ベクトル」を得ることができます.この中間投入ベクトルと「最終需要ベクトル」を足し合わせると,生産額ベクトルが計算できます.最終需要ベクトルをFとすると,

--- (1-1)

と言う産業連関分析の基本方程式が得られます.上の具体例では,

となります.

(1-1)式を変形すると,

となり,ここから

となります.(I-A)の逆行列を上の式の両辺に右から掛けることによって,

---(1-2)

と計算できます.ここでIは単位行列のことで,ここでは,2×2の単位行列,つまり,

です.したがって,

となり,この逆行列を計算すると,

となります.この逆行列は「レオンティエフ逆行列」と呼ばれます.このレオンティエフ逆行列にFを掛けてみると,

と計算でき,(1-2)式を検算することができます.

(第一次波及効果の計測)

ここで産業間の取引において波及効果がどのように発生していくか考えてみることにします.最初に第1産業に1単位の最終需要が発生したとします.その最終需要を生産するために中間財の投入が必要になりますので,必要な中間財を生産している産業に需要が発生します.その需要を賄うために,更に中間財が必要になるということを繰返しながら,経済全般に需要が波及していきます.このことを順番に見ていくと,まず,最終需要としてFが発生すると考えますが,ここでは,このFは,第1要素が1で残りに0が入っている列ベクトルです.次にこのFが誘発する財の生産は,AFとなります.このAFが誘発する財の生産はA(AF)です.このことを繰り返した結果,経済全体に発生する財の需要は,

と計算できます.この式の両辺Aを右から掛けると,

となります.上の式から下の式を両辺を引くと,

となり,この式から,

---(1-3)

となります.この式は(1-2)式と同じものであることが分かります.

産業連関分析を用いて,ある産業に最終需要が発生した場合に,その需要が産業の相互連関を通じてどのように経済全体に波及していくかどうかを調べることができます.この波及効果を加算したものが「第一次波及効果」と呼ばれるもので,(1-3)式で計測されます.

たとえばある公共事業の経済波及効果を計測したい場合には,ます,その公共事業によってどれくらいの規模の需要が発生するかをまず推計します.この推計は.公共事業の場合には予算の規模で推計して良いことになります.道路の建設であったら,予算規模だけの需要が建設産業に発生します.(1-3)式のFを,建設産業にその予算規模を代入してあとは0をいれた最終需要ベクトルを設定します.後は,この最終需要ベクトルにレオンティエフ逆行列を掛けることによって第一次波及効果が計算できます.

(わが国の産業連関表)

わが国の産業連関表は,総務省が推計して発表しています.産業連関表のホームページのアドレスはhttp://www.stat.go.jp/data/io/です.このホームページでも産業連関表の基本的な事柄を学ぶことができます.産業連関表の一覧はhttp://www.stat.go.jp/data/io/ichiran.htmから見ることができます.


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